人による

つくづく思う。
便利な世の中だ。

例えば携帯電話。
カメラやナビゲーションのシステム付きというのは
もう常識らしい。

今や、
録画したテレビ番組を再生するという機能も
携帯電話についている。
これはつまり、
移動しながらでも、
ビデオを見ることができるということだ!


そんなにビデオが見たいわけではないが、
「何かをしながら別の作業も同時にできる」
この言葉には、
時間の有効活用という点でいつも魅かれてしまう。


“何かをしながら・・・・”
といったもので代表的なのは、
「ドライブスルー」。

ファストフード店などで
車を降りずに、
ドライブしながら商品を購入することができるシステム。
何年も前から便利な仕組みとしてすっかり定着している。


しかし、この「ドライブスルー」という言葉を耳にするたびに
思い出すことがある。

随分前のことだが、忘れもしない・・・
家族で某ハンバーガーショップのドライブスルーを利用した時のこと。



「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ!」
スピーカーから聞こえる溌剌としたお姉さんの声。

「うーん・・・」
何を食べようか皆迷っている中、
“優柔不断”という言葉とは縁遠い九州男児の父が
第一声を放った。

運転席から低い声を響かせながら、
マイクに向かって一言。



「わしは、パンでええ。」



・・・静まり返った。
いつもなら注文を繰り返すお姉さんも、黙った。


呆気にとられ、誰一人としてすぐさま突っ込めなかった。


そんな中、静寂を破ったのは、ウン十年連れ添った母だった。

助手席から慌てて身を乗り出し、
マイクに近づいて一言。



「あ、あたしも。」



・・・凍りついた。
あんなに元気だったお姉さんの声など、聞こえる訳ない。




便利なはずのドライブスルー。

「時間が短縮できる」なんてうたい文句は、
戦後まもなく生を享けた
我が家の2人には通用しなかった。



「ココは、いろんなパンがあるお店でね・・・」
「そのパンは、“ハンバーガー”という名前でね・・・」


注文に行き着くまでにどれほどの時間を要したかは
ご想像にお任せしたい。

アタック25

記事番号:22 (2003年1月26日(日))]
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1月5日放送の
『パネルクイズ アタック25
アナウンサー大会』


出場を知ったのは
本番のおよそ1ヶ月前。

始めは司会でもするのかと
トンチンカンなことを思ったのだが
回答者と分かり大慌て!

自慢じゃないが、
雑学の無さには自信がある。

得意分野も
悲しいかな、「ダイエット」


こうなったら、人任せ!
ペアで組む西村アナに
全てお任せしよう!

「西村さん、頼りにしてますぅ♪」
と言おうとした矢先、
「たのんだよ、いわぶー!」
と、先に言われ
とにかく勉強しなければならないことを悟った。

そこから、
まず兄に連絡をとった。
彼は何を隠そう、
クイズが最も得意な人物だ。
(家族の中でではあるが・・・)

そんな兄からの最善のアドバイスは、
「雑学の本をたくさん読め!」

言われなくても分かることだった・・・。

しかし、言われた通りに
とにかく雑学の本をたたくさん借りてきた私。

机上に積み重なった
その莫大な量に怯え、
見て見ぬ振りをする日々が続いた。

そんなこんなで
気がつけばもう当日!

一番避けようと思っていた
「何もせずに本番を迎える」
というのが、あっさりと現実になった。

行きの新幹線の中で、
ようやくエンジンがかかる。

受験勉強以来の集中力を発揮し
予想問題を作った!
西村アナとも話し合った結果、
1つの結論に達した。
それは・・・・

1問目の人物当てクイズでは、
本上まなみ」がでる!
ということだった。

ただの予測が
新幹線の中で確信に変わり、
自分達の推測能力の素晴らしさに、
恐れすら感じた。

「私達ってすごいっっ!」
きっと何度も呟いたことだろう・・・。


「他に知られないように
本番まで『本上まなみ』の
名は口にしないこと!!!」
固く契りまで交わし、

お互いに顔を見合わせては
ニヤリと笑みを浮かべた。

どんな問題が出るかということよりも
「ほんじょうまなみ」と噛まずに言えるか
そのことばかりを気にしていた。


〜そして迎えた本番〜

本上まなみ」の「ほ」の字も出ずに
クイズは終了した・・・。

もちろん、優勝などするはずがない・・・。

本上まなみ
1975年5月1日に
山形県鶴岡市に生まれる。
血液型はB型で、
著書に
「ほんじょの虫干」
「ほんじょの天日干」
「ほんじょの鉛筆日和」
がある。
趣味は短歌に盆栽で
身長169センチながら
低血圧に悩まされている。
愛用しているのは400円の爪切り・・・


とココまで覚えた私は、
この知識一体どうすりゃいいのやら・・・・

辛いものが好きだ。
大好きだ。
辛ければ辛いほど美味しい!
だから、何にでも唐辛子を入れたくなる。

そんな私は,自称グルメ♪
「味音痴では?」
等という、全く持って失礼な質問も何のその!
「まさかまさか・・・あり得ませんっ!」
と,強く否定してきた。

がしかし、
「辛い=美味しい」
の方程式が成立する最近の私の舌・・・。
(とうとう味覚は、寿命を迎えたか?)
と私自身も疑わざるを得ない。

‘ベロバカ’という言葉に、
悔しいかな、親近感を覚え始めていた。



そんなある日、
友人が我が家に遊びにきた。

張り切って、手料理を披露した私!
出来上がったのは、
スパゲッティーカルボナーラ

我ながら自信作!
のはずだった・・・。

しかし・・・

ちょっと,味にしまりが無い!
「では早速♪これでどう?」と、
ブラックペッパーをパパッとプラス!

それでも少し物足りない!
「まかしといて♪必殺技っ!」と、
いつもの唐辛子をパパッとプラス!


・・・っとその時!!!!
「あ”っっっ!!!」

それは、一瞬だった。


目の前のカルボナーラが、
ミートソースに変身した・・・。


右手には、カラのビン・・・。
左手には、キャップと内蓋・・・。

買ったばかりの唐辛子。
一瓶丸ごと、ふり掛けた。

しかもわざわざ,友人のお皿に・・・。


その時、
ふと脳裏をよぎった岩淵家の教え。
〜食べ物は粗末にしてはいけない!〜


という訳で、2人で手分けして、
‘辛ボナーラ’を食べることにした。

しかし、やっぱり辛い!
燃えやすいものには要注意!
口から火が出るとは、まさにこのこと!

「辛すぎて、美味しくない!」

と,その時
はっと気がついた!
「辛い=美味しい」
の方程式が崩れた瞬間だった!

「私は,舌は正常ですっっ!!!」

気管に入り込んだ赤い粉末に咳き込む友人をよそに、
一人感動を隠し切れない午後だった♪


が、しかし、
それ以来、
友人が我が家を避けるのは言うまでも無い・・・。

選ばれし者

この世の中には、
偶然とか,絶妙のタイミングとか、
予期できない不思議なことがたくさん存在する。
しかしそれは、必ずしも好ましいこととは限らない!

天神を歩いていた時のこと。
デパートに囲まれた繁華街は、
多くの人でごった返していて、
私もその流れに従って歩いていた。

暑さも和らいで涼しい夕方。
少しだけ髪を揺らす風に、心地よさを感じながら、
なんとなくいい気分で歩いていると・・・

その時!!!


携帯電話を握った右手の甲に、
‘ぬくもり’を感じた!

「ビクッ」と一瞬肩をすくめた後、
親指の付け根に見えた
直径2センチほどのものは・・・・


糞だ!!!


‘できたて’のため、いつも目にするものよりも、
多少みずみずしいが、
この,色・形は
いつも我が家のベランダに残されているものと同じだ!


よりによって,どうしてココに?

大通りの人ごみの中なのに、
じっとしていた訳ではないのに、

どうして?どうして?どうして?どうして?



どうしようもない怒りが込み上げたが、

‘できたて’故に、
振り落とせば服に付きかねない。

動かせない右手と、
鞄でふさがっている左手。

拭き取りたいが両手が使えず、
人の波にも逆らえず、

とった手段は、現状維持・・・・。


硬直した右手に糞を乗せたまま、
とりあえず、目的地のバス停まで
10分ほど歩き続けた。


あたたかさも、潤いも、透明感もある・・・。
その新鮮なプルプル感が、憎らしかった。


スーツを身にまといながらも、
手の甲の糞を、そっと揺らさず運んだ私・・・。

すました顔して歩きながらも、
手の甲には‘できたて’の糞・・・。


速歩きのその訳は、
「糞が乾くのが怖かったから」と

いったい誰が気付いたろうか?










姉が失神した。

食器棚の下の引き出しの中を
しゃがんでゴソゴソとあさった後、
棚の上の開き戸が開いているにもかかわらず、
ものすごい勢いで立ち上がったという。
案の定、扉の角で頭を打った。
よくある話。

しかし、彼女の場合は勢いがありすぎた・・・。
その場に倒れ、気を失ったそうだ・・・。

こういったことは、彼女には頻繁にある。
姉の旦那は、いつか姉がおっちょこちょいで命を落としはしないかと、
心から心配していた。


でもその話を聞いた数週間後、
母の足にはぐるぐる巻きの包帯が・・・。

案の定,おっちょこちょいによるものだった。

父が庭に掘った穴に、深夜、
落ちたという。
なぜ父が穴を仕掛けたのかは,分からない・・・。

ただ分かっているのは,足を捻挫して、
母も気を失いそうになったということ。

こういったこと、母にも頻繁にある。
父はケラケラと笑っていた。


気を失いそうになるほどのおっちょこちょい、
私には考えられない!
と思った.

が、数日後、

ウキウキの旅行に
着替えなどすべて忘れて,
旅先に到着!

前日かなり時間をかけて洋服を選んだのに、
鞄の中には,パジャマだけ・・・。
しかも,パジャマの上だけ・・・。
なぜ到着するまで気がつかなかったのか,
自分が怖い!

すっからかんの鞄を開けたとき、
ついに私も、気を失いそうだった・・・。

左右


幼い頃、「右はお箸を持つ方,左はお茶碗を持つ方よ」
と習った人が多いのではないだろうか?
右といわれたら
お箸を持つ方の手を確認して,
「あっ、こちが右か」と判断したと思う。

もちろん私もその一人。
「右はどっち?」といわれると,
お箸を持つ手を思い浮かべて、考えてから答えていた。

しかし、1行前の表現には誤りがある。
実は、現在も思い浮かべている・・・。


しかし、これは普通だと思っていた。

誰もが皆いくつになっても、
左右の判断をする時は、
当たり前のように
お箸をもつ手を確認していると思っていた!


しかしあれは,3年前だろうか・・・。
そんな私に,ショックな出来事が起きた。

友人が、左右を瞬時に判断していることに気がついた!!!


「左右がすぐにわかる?」
と尋ねると、
「はっ??当たり前でしょ!」
と言われた・・・。
(お箸を持つ手を確認せずとも左右が分かるとはっ!
なんて、できる人なんだ!)
と尊敬した。

しかし、その後すぐに
「誰でも分かるよ,‘上下’と同じくらい簡単に。」
と、サラリといわれ愕然とした・・・。

「私、わからない・・・」
とつぶやくと、
「アホだからよ」
とすぐに返された。

「なぬー!違う!きっと皆分からないはずだ!!!」
と思い,早速調査を開始した。

結果,
身内をはじめ,友人ら数名の名前が、
左右がすぐに分からない‘左右不得意人物’としてあがった!


早速先ほどの友人に、
「やっぱり,皆すぐには分からないみたいよ!
あの子も、あの子も,あの子も分からないってよ!」

と、自慢げに‘左右不得意人物’の名を挙げると、

「ほら,皆アホばかりでしょ!」
と0.5秒ほどの間もおかず,返された・・・。


確かに、
私が挙げた名前はすべて、
おっちょこちょいで、
何もないところでも、つまずいて転びそうな人物ばかりだった・・・。


ちがう!ちがう!
私は、そんなおっちょこちょいグループじゃない!
とぷりぷり怒りながらも、

またこの前,
「そこを右に曲がって」と言われ、
左に曲がって迷ってしまった・・・。

ジュッ


姉が火傷を負ったという。

なんでも、ロウソクの火を消そうとした時のこと。
吹いても吹いても、あまりに火が消えないものだから、
むきになって消そうとしていたら、
熱くなったキャンドルホルダーに上唇をつけてしまい、
ジュッと唇を火傷したとのことだった。

火を消すのに、そこまで顔を近づけるなど、
普通は、ありえない・・・。


そのことを私に伝えながら、
「あの子は、どうしようもない・・・」と呆れる母。

しかし、そういう母も以前、
焼却炉でものを焼いていて、
帰ってきたときには
前髪にパンチパーマがかかっていた。
中を覗いたときに前髪に火が引火したそうだ・・・。
ジュッと、一瞬で前髪がチリジリになったという。
しばらくはひどい髪型だった・・・。

どれだけ、顔を突っ込んだのだろう?
普通は、ありえない・・・。


そのことを思い出し、
「母も人の事は言えないではないか・・・」と呆れる私。


という私も、思い出した!
火に掛けたばかりの鍋の底を
なぜか素手で持った・・・。
ジュッとひとさし指が焼けた。
ふざけていたわけではない。
一人で黙々と作業をしていて、地味に悲鳴をあげた。
今火を消したばかりだったのに・・・。
なぜ触ったのかはわからない。
火に炙られているかのような痛みが夜まで続いた。

普通では、ありえない・・・?


これは遺伝なのでしょうか?