悪友

深夜の電話。
友人からだ。
「今から家に行くから!」
と言われた。
何でも大切な用事があると言う。

指定された人気がない場所まで出て行くと、
友人が4人待っていた。

わざわざ、こんなところまで呼び出して、
しかも少し様子が変だ!
普段より、ちょいと改まっている。
「仕事大変でしょ?楽になりたくない?」
なんて、突然やさしい言葉!!

あっ!!!
これは、絶対何か私を喜ばせるビックプレゼントがあるに違いない!
こんなとこに呼び出したくらいだもん!
しかし、今日は誕生日でもない・・・。
あっ♪
でもちょっと遅れた誕生日プレゼントという魂胆ね♪
うふっ。

私は瞬時に悟った。


「イヤー、別にそんなことないよ☆」
なんて言ってると、
「嘘だー、いろいろあるでしょ???」
なんて言ってくる.

いいから、早くプレゼントをっ!!!
とじれったく思っている私を察したようだ。
友人のうち1人が洋服の中に隠していたものを私に手渡した。

「ん???」
暗闇でよく見えないが、赤くて、厳めしい・・・顔???
というか、そこに出されたのは、紛れもなく
☆鬼のお面☆・・・

皆の手を見ると、そういえば全員が‘グー’をしている。
私がこのお面をつけたところで、手の中にある豆を投げつける・・・。
シナリオが見えた。。。

「ちょっと!!!もうわかったんだけどっっ!!!」
と怒った私。
でも、ここでかぶらなかったら、ノリが悪い。
23歳にもなって、鬼の面をかぶっておどけて見せるか、
それとも、
ノリが悪くなったと友人らから後ろ指をさされるか・・・。

私は、前者を選んでしまった・・・。

面をつけたとたん、体に痛みが走る。
「鬼はー外ぉー」と言う声を聞きながら、
鬼の目の丸い穴から見えた友人らの輝いた顔!!!
キー!!!
何て憎らしいのだろう!!!

写真までとられた挙句、
「これでもう、大丈夫!悪い鬼退治してあげたよ♪」
と感謝してと言わんばかりの言い方。


本当に豆を撒くだけ撒いて、
「またね♪」
と帰っていく友人らの背中に向かって
「こういうの本当に迷惑だからっ!!!」
と叫んでみたが、
「好きなくせにぃ♪」
と返され、
来年もまた来るのではないかという恐怖だけが残った・・・。

時計の針が
2月3日を刻み始めたばかりのことだった・・・。